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誤送信(2)

本能と戦いながらも、理性が何とか思考を巡らす。
良からぬサイトから飛んだ訳じゃない、リンク先は仕事先からのメールにあった。
担当者から送られた文面は、いつもと変わりない事務内容。
そして、データ参照として付けられたリンク先を開くと、全裸の男たちが現れたのだ。
画面に映った別世界への窓を閉じ、改めてリンク先を開く。

だが、そこに映し出された光景は、先と変わらぬ内容だった。
無音で出し入れされる肉棒と、ガッチリと押さえ込まれた男の身体がピクンと反応する。

改めて画面を閉じると、無言でメールを見つめた。
添付ミスか…だがなぜこんな動画が。
冷やかしか、何かバレる様な言動でもあったのだろうかと最近の出来事を思い返す。
が、興奮で思考停止している上に、心当たりがあるでもない。
ただただ混乱していると、突如としてスマホが鳴った。

唐突過ぎたコトもあり、ビクッと身体を強張らせ、スマホの画面を見ると、担当からだった。

おもむろに電話に出ると、担当の営業マンは焦った様子で矢継ぎ早に放つ。
「…あ…お疲れ様です、すみませんっ、こんな時間に、個人宛に電話してしまって…」
恐縮しているのは解るが、いつもと雰囲気が違い、焦りが見られる。
「いっ今、どちらにいらっしゃいますか?」
「今?今は会社ですが」
「あの…先程誤ってメールを送信してしまったのでっ…すぐに削除していただけないかと」
いつもは流暢な言葉が次々と溢れ出す中で、今日はやけに突っかかる。
そして焦りは色濃く見えた。
「メール…?」
「…あ…はい…先程送らせていただいたメールに…1件目を、削除をしていただきたくて」
「解りました、1件目ですね、消しておきます」
「ありがとうございます、2件目が修正後の内容ですので」
電話越しながら、安堵の表情が見て取れる。
「それより今、どちらにいらっしゃいますか?」
「今ですか?まだ職場ですが」
「そうですか、良ければこの後、会えませんか、出来れば誰もいないトコロで」
「…解りました、ではこの前に打合せしたホテルでどうでしょう」
「ありがとうございます」
そう言って、電話を切った。

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