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健康診断(1)

1年ぶりの来院。
近所ながら普段使う事のない病院だが、健康診断は毎年ここで受ける。
傍にあるからという、ただそれだけの理由だったが、これからは頻繁に通う事になりそうだ。

*****

「こちらにオシッコ入れたら、窓開けて貰って置いておいてください」
良く言えば立て板に水な説明だが、全く目を合わせる事もない。
こちらの気恥ずかしさを気遣ってか、それともただの作業だからか。

1時間前からはトイレに行けないと考えると逆に行きたくなってしまった。
そんな我慢からようやく解放されるとトイレに入り、コップに注いだ。
今この状態で窓を開けて、閉めたフリをすれば、向こうから丸見えになるだろう。
そんな妄想をしつつも露出癖の無い自分にとっては何のスリルもない。

そんなこんなで検尿を終え、身長、体重を終え、脈拍の計測が始まる。
可能な限り同性の看護師が行うそうで、クリニックには珍しく男性看護師が対応する。
「痛くないですか」
慣れた様子で脈を計られ、奥の部屋へと通された。
「はい、じゃあ心電図取るので、荷物を置いたらこちらで横になってください」
言われたベッドに横になると、身体の上に電極の付いたバーが動かされる。
「服を胸が見える位まで捲って貰えますか」
腹の部分にタオルケットを掛けながら男性看護師が指示を出す。
胸が見える程度…、少し気恥ずかしさを感じながら服を捲ると、タオルケットをズラした。
「電極付けていきますね」
そう言いながら、手慣れた様子で両手首に電極を付ける男性看護師。
「失礼します」
続いて、ズボンの裾から手を入れ、靴下を捲ると、素足に電極を取り付けられた。
1年ぶりのため、この後に何があるのか思い出せないまま、素足に触れる手にドキリとする。
「じゃあ、胸にも付けていきます」
そう言いながら、掛けてあったタオルケットを軽く捲ると、心臓周りに電極を付ける。
四肢電極と違い、胸部電極は皮膚に張り付く構造の様で、少し身体がビクンと動いてしまう。
「大丈夫ですか」
真顔でこちらを見ながら男性看護師が訊ねる。
「は…はい…すみません…」
この後、まさかあんな事になるとは思ってもみなかった。

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