落とし物(2)
- 2018/02/22
- 18:52
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「すいません、取り敢えず上司に連絡が取りたいので、アドレス確認して貰っていいですか」
そう言うと、彼の指示でスマホを操作していく。
その中で、あることに気付いた。
SNS系のアプリが並ぶ中、見慣れたアプリを見付ける。
まさか…、そう思いつつも、好奇心が刺激され、それどころではなかった。
取り敢えず、彼の上司のアドレスを伝え、彼の用件が終わる。
「それにしても本当に助かりました、不幸中の幸いと言うか…」
安堵した様子で彼が続ける。
「もしロック掛かってたら、もっと大変でしたから、そのまま忘れていて良かったです」
「はは…確かにそうですね」
そんな風に話が続き、受け取るタイミングの話になる。
休日だが夜には店に行けると伝え、唐突ながら、先程気になったことを切り出してみた。
「あの、1ついいですか」
「…はい、なんでしょう」
「実は、先程の操作の最中に、間違って違うところを開けてしまって」
「あ…そうですか…別に大丈夫ですよ、この後はロックしておいて貰ったら」
「はい、このスマホ、本当にあなたのなんですよね」
「え?そうですよ、私のです」
「そうですか、あの、疑う訳じゃないんですが、本当にあなたのかなって」
「ええ、私のですよ、明日伺った時に確認して貰ったら」
「解りました、では、先程見てしまった、ここにある画像で見比べさせて貰って」
「え…!?」
安心しきった態度が一変し、一気に緊張感が生まれた。
「よくよく考えると、着信等のある程度のやりとりは近い人なら解かるじゃないですか」
「え…でも、自宅から掛けてますし、そこにちゃんと今の番号から自宅って出てますよね」
「まぁ、そうなんですけど、念には念を、ってやつです、間違えがあったら大変ですし」
「いや、でもそれは…」
「他に本人だと証明するのは難しいですよね」
「…」
無言の時間が少し続いたが、…わかりました、と電話越しに声がした。
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「すいません、取り敢えず上司に連絡が取りたいので、アドレス確認して貰っていいですか」
そう言うと、彼の指示でスマホを操作していく。
その中で、あることに気付いた。
SNS系のアプリが並ぶ中、見慣れたアプリを見付ける。
まさか…、そう思いつつも、好奇心が刺激され、それどころではなかった。
取り敢えず、彼の上司のアドレスを伝え、彼の用件が終わる。
「それにしても本当に助かりました、不幸中の幸いと言うか…」
安堵した様子で彼が続ける。
「もしロック掛かってたら、もっと大変でしたから、そのまま忘れていて良かったです」
「はは…確かにそうですね」
そんな風に話が続き、受け取るタイミングの話になる。
休日だが夜には店に行けると伝え、唐突ながら、先程気になったことを切り出してみた。
「あの、1ついいですか」
「…はい、なんでしょう」
「実は、先程の操作の最中に、間違って違うところを開けてしまって」
「あ…そうですか…別に大丈夫ですよ、この後はロックしておいて貰ったら」
「はい、このスマホ、本当にあなたのなんですよね」
「え?そうですよ、私のです」
「そうですか、あの、疑う訳じゃないんですが、本当にあなたのかなって」
「ええ、私のですよ、明日伺った時に確認して貰ったら」
「解りました、では、先程見てしまった、ここにある画像で見比べさせて貰って」
「え…!?」
安心しきった態度が一変し、一気に緊張感が生まれた。
「よくよく考えると、着信等のある程度のやりとりは近い人なら解かるじゃないですか」
「え…でも、自宅から掛けてますし、そこにちゃんと今の番号から自宅って出てますよね」
「まぁ、そうなんですけど、念には念を、ってやつです、間違えがあったら大変ですし」
「いや、でもそれは…」
「他に本人だと証明するのは難しいですよね」
「…」
無言の時間が少し続いたが、…わかりました、と電話越しに声がした。
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