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出張(1)

「横いいか」
突然掛けられた声にビクっとなって目を開けた。
隣のシャワーに来た上司に驚きつつも、焦りを見せない様に返事だけした。
「あっ、はい」
シャンプーの泡が軽く目に掛かる中、急いでシャワーを頭から浴びた。

*****

支店でトラブルがあったとかで、急遽入った上司との出張。
家に帰って準備する暇もなく、すぐに新幹線で飛び立ち、事なきを得た。
帰りの新幹線は明日の分を手配しており、ホテルも取ってあるからと1泊する事に。
ビジネスホテルの大浴場へ来た訳だ。

シャワーでシャンプーを流し終え、隣に座る上司を横目で見た。
頭からシャワーを浴びている姿にドキドキし、視線を戻した。
あまり見過ぎると身体が反応しそうだ。
それでも滅多にないチャンス、もう一度、上司の裸体に目を向けた。

特に鍛えているでもない身体は筋肉に少し脂肪が乗った、中年特有の体つき。
脚から徐々に上へと目をやると、乳首が思いの外デカい。
遊んでいるのだろうかと思った矢先、上司がちらっとこっちを見た。
「どうした?」
反射的に、視線を逸らし、少し上ずった声で答えた。
「いやっ、別にっ」

このままではダメだと軽くシャワーで体を流し、座ったままで水滴をタオルで拭いた。
そのまま立ち上がり際、タオルを腰に巻き、一声掛けて出る事にした。
「お先に失礼します」

そう言いつつも、上司の裸体をまた舐める様に見ようとしてしまう。
煩悩を振り払いながら脱衣所へと向かい、浴衣を着た。

脳裏に焼き付いて離れない上司の乳首に下半身が僅かに反応する。
日頃から自分でイジっているのだろうか、それとも奥様に…。
そう言えば既婚者だったかも聞いた事が無かったが。
僅かな期待を胸に抱き、部屋へと一人戻った。

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