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配達員(5)

ガチャリと開いたドアの向こうには、見慣れた顔。
いつ見ても凛々しさと可愛らしさが混在している。

「すいません、お待たせして」
30代中頃だろうか、スウェットにTシャツと決してきちんとした身なりとは言い難い。
しかし、どこか清潔感があり、凛としていて、Tシャツ越しにでも解かる程良い筋肉。
いかにも鍛えていますというタイプとは違うこの手の筋肉には本当に弱い。
「いえ、大丈夫ですよ」
「あ、ハンコですよね」
サインでもいいのだが、折角のタイミングだとハンコを探しに行くのを止めなかった。
「いいですよ、急がなくて」
玄関先に入らせて貰い、しばらく待つ。
いつも注文している先は、自分も利用するサイトだと気付いたのは1年程前。
同じ送り主、同じ商品名に、ドキドキが止まらなかった。
それ以降、彼への配達は全て率先して回る様にしている。
新商品が出る度に購入しているため、ある程度予測がついた。
お陰で顔見知りになれたし、都度、帰ったら妄想でオカズにしている。
独身男性の部屋の割にはキレイに片付けられており、女性の匂いも感じない。
いや、むしろ、男性特有のエロい匂いが鼻をつく。
いつも自分でヌいてるんだなぁ、とハンコを探す彼を見ると、スウェットがまたいやらしい。
が、今日はどこか違和感がある、なんだろうと良くみると、その理由が見えた気がした。
下着、つけていない…?
ケツまわりにかけては特になんとも解らないが、動くたびに、股間の膨らみに変化が大きい。
いつもこれ程までに匂わない部屋の状況からするに、ヌいていたのかな、と思った。
インターホンで待たされることも、ハンコが見付からないのも、いつもならまずない。
そう思うと、つい先程迄、そこで服を脱いでオナニーしていたのかと興奮した。

やがて、そんな妄想のせいで股間にしか目が行っていなかったが、ハンコを手にやってきた。
待たせたことを悪く思っているのか、すごく申し訳なさそうな表情だ。
だが、そんな彼が先程までオナニーしていたのかと思うと、ついからかいたくなった。

「いつも大変だねぇ」
「すいません、すぐに忘れてしまって」
申し訳なさそうに、彼はペコリと頭を下げた。
「いやいや、若いって大変だなぁって」
「??」

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